お話を伺った方
中野区 区民部 保険医療課長 宮脇 正治 様
同 保険医療課 国保運営係長 加藤 俊行 様
取材日(2025年7月22日)時点
国民健康保険料の口座振替率を高めたい
新庁舎への窓口の移転をスムーズに進めたい
ペーパレス化の一歩として、書類のPDF化を進めたい
係の枠を超え、健康保険への加入から口座振替までをひとつの導線で対応
移転前から新庁舎でリハーサルを行い、住民誘導のアイデアを提言かつ実行
それまで外注だった書類のPDF化を窓口対応等とあわせて一元的に実施
口座振替世帯数が、国民健康保険加入者全体の47%強まで高まった
庁舎移転と繁忙期が重なった中でもスムーズな案内を実現
庁舎内で保存する書類を大幅に削減
ベルシステム24は中野区様の保険証の発行や、保険料の収納受付を2012年度より受託しています。
3~5年ごとのプロポーザル方式※で更新が行われてきましたが、企業名は伏せられた中でもベルシステム24の提案が評価され、今まで継続して業務を続けてきました。中野区様では国民健康保険の加入世帯数に対する、口座振替世帯数が47%強(2024年度)となっており、都内の中では高い数値となっています。
口座振替世帯数は、健康保険料の収入率に大きく影響します。
また、中野区様は近年、単身者、そして外国籍の方が多く住んでおり、口座振替世帯の割合を増やすことが一般的には難しいとされる地域になります。
そんな中でもなぜベルシステム24が右肩上がりで年々高い数字を獲得できているのか、さらには2024年5月に行われた新庁舎への移転の際の同社の役割について、中野区様にお話を伺いました。
※プロポーザル方式・・・主に公共における入札において、企画書等の提出を求め、その審査を元に入札先を選定する方式
中野区 区民部 保険医療課長 宮脇 正治 様
同 保険医療課 国保運営係長 加藤 俊行 様
取材日(2025年7月22日)時点
宮脇様
「中野区は人口が約34万人おりまして、外国の方は2万6千人ほど在住しています。私たちが担当しています国民健康保険に関して言いますと、中野区民のうち約72,000人が国民健康保険に加入しています。その中で外国の方の比率は約20%と、人口比と比べてもかなり多くを占めています。
また、中野区は単身世帯が多く、これは国民健康保険に占める単身者の割合にも影響されています。
こうした点が中野区における、国民健康保険に関する特徴と言えます。
ベルシステムさんに現在委託をお願いしているのは、国民健康保険の窓口と後期高齢者医療保険の窓口の対応、さらにその両方の電話対応です。一次受けは基本的にすべてお願いしています。また国民健康保険についてはバックオフィス業務も対応いただいています。
国民健康保険窓口等業務委託と後期高齢者医療窓口等業務委託について、このふたつの業務は別の契約ですが、企業名を伏せたプロポーザル方式での提案を受け、中野区においてはベルシステムさんに両方とも委託させていただいております。
提案内容に関しましては、過去の実績、特に自己完結率の高さから丁寧な対応をしていただけるという期待がありました。それから、様々な情報から統計を作成いただいた際に、その分析がとても分かりやすく、区役所のニーズを的確に捉えていただいていると感じました。そうした点が、とてもよかったですね」
加藤様
「昨年、後期高齢者医療窓口等業務委託のプロポーザルを実施した際に企画提案書を拝見しました。特に社会情勢や制度改革といったあたりをすごく的確に捉えているという印象でした。マイナ保険証やシステム標準化など、制度やシステム運用に関する変更点を的確に捉えて、変更にあたり自分達ができることはこういうことですという現場目線の提案をしていただきました。
現在はそうした提案の内容を実際に実行してくださっているので、提案も実行もそれぞれよくやっていただいていると感じています」
宮脇様
「保険料は口座から引き落とされる方が当然、収入率が高くなります。納付書での支払いですと、どうしても払い忘れなども発生してしまいます。そのため、公平な徴収のためにもまず中野区としては保険料の口座引き落としを原則としています。
今、窓口ではベルシステムさんが、国民健康保険の資格確認書等を住民にお渡しする際に、保険料の口座振替の登録もしてもらっています。そこをひとつの流れで行っているのが口座振替率の高さの要因になっていると思います。
国民健康保険への加入手続は資格賦課係、口座振替手続きは国保収納係となり、通常は各係で行う手続きになります。そのため他の自治体では国民健康保険に加入した後、口座振替を希望する方は、また別の番号札を引いてくださいといった対応が一般的かと思います。中野区ではベルシステムさんに窓口業務を委託しているため、加入が終わったら、続いて口座の手続きですといった流れを作ることができています。そうした積み重ねによって、口座振替率を向上できていると思います」
加藤様
「口座振替は、口座振替依頼書に必要事項を書いてもらいますが、今はペイジー口座振替受付サービスを利用して行うこともできます。一部の金融機関と通信できる機械があり、キャッシュカードを利用してオンラインで口座振替の申込ができます。簡単な申込書は書いてもらう必要がありますが、口座があるかどうかはこのオンライン通信で分かるので、ベルシステムさんにもそれを活用していただいています。昨年5月の新庁舎の際に、窓口の配置もがらっと変わりました。すぐに6月の繁忙期が来て、慣れない配置での対応となったため、混雑時に窓口で口座振替を受けきれない可能性もあると想定していました。そうした際に、ペイジー口座振替受付サービスを利用できる人には、個人情報に配慮してもらいながら、待合にある記載台で案内をしてもらうなどの工夫をしていただきました」
宮脇様
「中野区の特徴の一つとして、先ほどもお伝えしたように外国籍の方がとても増えています。こうした外国籍の方への対応は、窓口も電話対応も非常に難しいところがあります。国によって、ニーズも違えば忙しくなる時期もばらつきがあります。また英語だけじゃなくて、多言語での対応が必要になります。
現在、ベルシステムさんには翻訳機などを活用して、上手に案内していただいています。電話対応に関しては翻訳機を使えないこともあり課題はありますが、そうした部分の対応も今後行っていただけることを期待しています」
宮脇様
「庁舎移転の際にベルシステムさんから提案を受けて、とても良かった点をひとつご紹介します。
今の加藤の話にもありましたが、待合スペースには記載台が設置してあります。国保用の記載台もありますが、そこに発券機も置いてあります。発券札を引くところまではフロアマネージャー専門の別の委託業者が案内します。それ以降のところでベルシステムさんから提案があり、発券後はそのまま呼び出しがあるまで待つではなく、記載台のところにベルシステムさんの案内人も常時一人ないしは二人配置し、手続きの中身を聞いています。例えば外国籍の方であればこちら、それから日本の方でもこういう用件の場合はこちらという風に、振り分けを行っていただいています。発券してそのまま待たせるのではなく、繋ぎ役としての案内人を置くことで、流れがとても良くなっています。これはすごくいい取り組みだと思っています」
加藤様
「移転準備の段階からベルシステムさんにも新庁舎にて導線を確認してもらい、電話やパソコンの配置なんかも確認してもらっています。その中で当初の予定から運用しやすいように配置も変更しています。
あと、窓口は座って対応するカウンターが基本だったのですが、ベルシステムさんからも提案があり、移転後に一部ハイカウンターに変更しました。そうした変更も両者で協議しながらやっています。その中で、効率が良くなっている面がありますので助かっています」
宮脇様
「移転前に新庁舎内でリハーサルも行いました。5月の連休中だったにもかかわらず、ベルシステムさんの方にも出てきてもらい、実際に住民がこう来たらこうした導線にしようといったことを、一緒に確認し、準備してくれました。すごく助かりましたね。
窓口でも来庁者が特に多いのは国民健康保険と戸籍住民なので、戸籍住民は別の委託先と、私たちはベルシステムさんと事前のリハーサルを行いました。
リハーサルの時にわかった問題点をカバーするためにインカムの導入もベルシステムさんに提案していただきました。住民対応においては無線のパソコンが利用できません。個人情報が入っているものを窓口に出しておくわけには行かないので、ノートパソコンなどは使用していません。そこでインカムを使って遠隔で情報共有をできるようにしました。これはすごく有効な手段になりました」
宮脇様
「区役所中の書類を電子化していくというのは、新庁舎移転後のコンセプトでした。
毎日たくさんの住民が来庁していて、申請書も膨大な数になりますし、書類の種類もひとつだけでなく、種類によって大きさも異なってきます。そうした様々な手続きごとの書類をまとめて、月単位でPDF化していきます。
今までは現年度分、昨年度分、常用分といった区分で、キャビネットに書類を保管していました。その場合、原本を見せてほしいと住民から問い合わせがあった際にはキャビネットを探さなくてはなりませんでした。PDF化しておけば、タイトルの付け方を工夫することによって、検索がすぐにできます。原本は別場所の倉庫に入れておきます。どうしても原本が必要な場合は持ってきますが、原本を見せてほしいというケースは実際にはほとんどありません。
これによって現年度分、昨年度分ともに収納するスペースを大幅に節約することができました。キャビネットの数を少なくとも半分、可能であれば七割くらいまで減らそうと区役所全体で進めているところです」
加藤様
「PDF化は令和6年度の庁舎移転の際に本格的に始めましたが、令和5年度中に一部委託を実施しました。令和5年度はベルシステムさんではなく別の委託先に外注していたのですが、PDF化の作業中は原本が庁舎外に移ってしまうので、実物を見たくても、すぐに確認することができませんでした。令和6年度からベルシステムさんによる庁舎内での運用が始まって、今年度もほぼ毎日PDF化を行ってくれています。すごく助かっています。庁舎内で行うメリットも今言ったように原本が欲しい場合は作業中でもすぐに確認できますし、日々、書類が発生する中で、種類ごとに整理しながらPDF化を進めてくれています。
保存の仕方はベルシステムさんとも協議をさせていただいて、どうすれば作業性と検索性を両立できるかというところを念頭に置いてPDF化を行っていただいています」
宮脇様
「今はPDF化することで止まっていますが、今後は手書きの書類をAI-OCRで読み取らせて、データとしてシームレスに格納することを目指しています。多少読み取りがしづらい文字でもAI-OCRであれば精度の高い読み取りが可能になるのではと期待しています。そうすると、例えば給付の業務で高額な医療費がかかる際に申請が必要なことがありますが、そうした申請書の情報をシステムに取り込んで、素早い給付に活かしていくことも可能になります。
また、システムの操作は繰り返し行う作業が多いので、RPAでデータの処理を自動で行うことも考えています。作業がオートメーション化すれば、業務がさらにスピードアップします。そのようにOCRやRPAを積極的に取り入れていこうというのが、区役所全体としても考えているところになります。
実際に後期高齢者医療の方では来年度に向けてテストをやってみようというフェーズになっていますので、そこを皮切りに国民健康保険業務の方にも、広げて行きたいと思っています。
そのため、ベルシステムさんには、過去の成功事例なんかをぜひお聞かせいただきたいです。今後、ベルシステムさんにお願いできるところはまだまだあると私たちは思っています」
加藤様
「私もそこに期待しています。OCRやRPAといったツールを入れるのは区側ですけれど、活用に関してはベルシステムさんの方が実績もあると思いますので、そこの知見は共有いただきたいと思います。今後ともよろしくお願いします」
中野駅周辺は現在100年に一度と言われる大規模な再開発の真っただ中です。庁舎移転もそうした開発の一環で行われ、区役所の役割も進化していくことが期待されています。
中野区様から展望としてお話が出た、AI-OCRやRPAの活用はすでにベルシステム24では他の自治体様や企業様で行っており、こうした運用知見を今後、中野区様でも活かしていきたいと考えています。
これから、ますます発展していく中野区様をベルシステム24は様々な角度から力添えしていきます。
中野区 様
東京都の特別区の一つであり、中西部に位置する人口34万人(2025年1月推計)の区。2021年11月に「第2次中野区地域情報化推進計画」を策定し、2024年2月に改定。DX推進室を中心に行政サービスのデジタル化を推進。多文化共生や文化・教育の振興、多様な住民ニーズに応じたサービス提供により、誰もが安心して暮らせる持続可能なまちの実現を目指しています。