経理DXが進まない理由とは?電子化で解決する経理業務の課題

経理DXが進まない理由とは?電子化で解決する経理業務の課題

公開日:2026.10.21  
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経理DXに取り組みたいものの、思うように進まないと感じている企業は少なくありません。紙の書類や担当者ごとのやり方が残ったままでは、システムを導入しても効果が出にくい場合があります。そこで土台となるのが、書類をデータで扱える形にそろえる電子化です。電子化によって転記や保管の手間を減らせれば、経理DXの次の段階である標準化や自動化にも着手しやすくなる可能性があります。本記事では、経理DXが進まない背景を整理したうえで、電子化で解決しやすい課題と、経理業務の標準化・自動化を進めるポイントを紹介します。

経理DXが進まない理由

企業の経理部門は、請求書の処理から決算まで、正確さと期限が強く求められる業務を担っています。そのため、現行のやり方を大きく変えることに慎重になりやすく、経理DXが思うように進まないケースが見られます。ここでは、背景として挙げられる要因を解説します。

紙・属人化・システム分断の3つの壁

経理DXの妨げになりやすい要因として、まず挙げられるのが紙の書類です。請求書や領収書が紙で届くと、内容の転記や押印、ファイリングといった手作業が発生し、業務の流れをデジタルでつなげにくくなります。紙を前提とした運用が続くと電子化が遅れ、後続の工程にも影響が及びます。

次に、担当者ごとに処理方法が異なる属人化があります。ルールが明文化されていないと、担当者の経験に頼った運用が続き、業務の全体像が見えにくくなります。

さらに、会計・販売・購買などのシステムが別々に運用されていると、データの受け渡しに手作業が入り込みます。この分断が、経理DXで自動化を進めにくくする一因になる可能性があります。

現場の負担感と目的の曖昧さ

要因は仕組みだけではありません。月次や年次の締め作業で多忙な中、新しいシステムの導入や移行の検討に手が回らないという声もあります。変更に伴う学習や確認の負担が、経理DXに対する現場の抵抗感につながることもあります。

また、「何のために経理DXを行うのか」が定まらないまま進めると、ツールの導入そのものが目的になりがちです。効果を実感しにくく、取り組みが途中で止まってしまう場合もあります。

経理DXの前提となる「電子化」とは

経理DXを進めるうえで、電子化は入り口にあたる取り組みです。ただし、電子化とデジタル化、DXは混同されやすい言葉でもあります。

電子化とデジタル化・DXの違い

一般に、電子化は紙の書類をデータに置き換えることを指します。デジタル化は、業務の一部をデジタル技術で効率化することを広く指す場合が多く、DXは、デジタル技術を活用して業務のやり方や組織の在り方まで見直す取り組みとして使われます。

用語主な意味経理業務での例
電子化 紙の情報をデータとして扱える形にする 紙の請求書や領収書をデータで受け取る・保存する
デジタル化 業務の一部をデジタル技術で効率化する データ化した伝票を会計システムに取り込む
DX デジタル技術を前提に業務や仕組みを見直す 承認から記帳までの流れを組み替え、担当者の作業を見直す

このように整理すると、電子化はDXの一部というより、DXに進むための土台として位置づけられます。紙のままではデータを活用しにくいため、経理DXの最初のステップとして電子化が取り上げられることがあります。

電子化で変わる経理業務の流れ

紙を前提とした業務では、受領、転記、承認、保管といった各工程で人の手が介在します。電子化によって情報がデータで流れるようになると、転記の手間を削減でき、承認や確認をオンラインで進めやすくなるなどのメリットが期待できます。

一方で、電子化は紙をデータに変えるだけでは完結しません。業務の進め方そのものを見直さなければ、電子化は進んでも、紙の運用をそのまま画面上に移しただけになりかねません。この点は、後半で述べる標準化とも関わってきます。

電子化で解決しやすい経理業務の課題

経理DXの入り口となる電子化は、経理業務の中でも特に紙の影響が大きい領域で効果を発揮しやすいと考えられます。

請求書・領収書まわりの課題

請求書や領収書は、受け取り方がまちまちになりやすい書類です。郵送、メール添付、手渡しなど経路が分かれると、受領の確認や回収に時間がかかる場合があります。内容を会計システムに入力する際の転記ミスも、起こりやすい課題の一つです。経費の精算でも、領収書の紛失や提出の遅れが、処理の停滞を招く場合があります。

電子化によって書類をデータで受け取り、入力作業を減らせれば、回収漏れの把握や転記の負担を軽減できる可能性があります。経費精算においても、領収書の提出や確認、精算内容のチェックといったやり取りを減らすことにつながります。

承認・保管・検索まわりの課題

紙の書類では、承認者が出社していないと決裁が止まる、押印のために書類を回す、といった状況が起こりがちです。システムの導入とあわせて承認の流れをオンラインに移せば、場所に左右されにくい運用に近づけられます。

書類の保管や管理、検索の面でも違いがあります。紙のファイルは保管場所を確保する必要があり、過去の書類を探すのにも手間がかかります。データで管理すれば、必要な書類を探しやすくなり、監査や問い合わせへの対応もしやすくなると考えられます。

なお、書類の電子保存には、税務や会計に関する法令上の要件が定められている場合があります。実際に進める際は、最新の法令や所管機関の情報を確認したうえで対応し、必要に応じて専門家に相談してください。

経理業務を標準化するためのポイント

電子化で書類がデータになっても、処理の方法が担当者ごとに異なれば、効果は限定的になります。自動化や経理DXの前段階として、業務の標準化が必要になると考えられます。ここでは、標準化を進めるための二つのポイントを解説します。

業務の棚卸しとルールの明文化

進め方の第一歩として取り組みたいのが、現在の業務の洗い出しです。誰が、どのタイミングで、どの書類を使い、何をしているのかを整理します。担当者へのヒアリングを通じて、暗黙のルールや例外対応も書き出しておくと、属人化している部分が見えやすくなります。

洗い出した内容は、手順書やルールとして明文化します。完璧を目指すよりも、まず主要な業務から文書化し、運用しながら見直していく進め方が現実的です。

入力・承認フローの統一

次に、入力方法や承認の流れを統一します。たとえば、書類の受け取り経路、勘定科目の選び方、承認の順序や権限などを部門内でそろえておくと、処理のばらつきを抑えやすくなります。

フローが統一されていれば、システムへの設定や導入後の運用も行いやすくなり、のちの自動化や経理DXの推進にもつなげやすくなります。反対に、例外が多い状態で自動化を始めると、設定が複雑になり、運用の負担が増える可能性があります。

経理業務の自動化を進めるためのポイント

標準化が進むと、定型的な作業を自動化しやすくなります。経理DXの効果を実感しやすい段階でもありますが、一度にすべてを変えようとすると現場が混乱しかねません。

自動化しやすい業務の見極め方

経理DXで自動化に向いているのは、ルールが明確で、繰り返し発生する業務です。たとえば、会計システムへのデータの取り込みや仕訳の候補作成、突合作業、定型的な通知や集計などが該当しやすいと考えられます。

一方、判断を要する業務や、例外への対応が多い業務は、人の確認を残したほうが安全な場合があります。すべてを自動化の対象とせず、人が判断すべき部分とツールに任せる部分を切り分ける視点が役立ちます。

段階的に進めるステップ

自動化は、小さく始めて広げる進め方が取り入れやすいといえます。具体的には、次のような流れが一例です。
  • 対象とする業務を絞り、現状の手順と課題を確認する

  • 手順を標準化したうえで、自動化の範囲とツールの導入方法を決める

  • 一部の部門や業務で試行し、結果を確認する

  • 課題を修正しながら運用を定着させ、対象範囲を広げていく

あわせて、経理DXの目的を関係者で共有しておくことも大切です。何を改善したいのかが明確であれば、導入後の効果も振り返りやすくなります。

まとめ

経理DXが進まない背景には、紙の書類、属人化、システムの分断、現場の負担感、目的の曖昧さといった要因が重なっていると考えられます。こうした状況を変える第一歩として、電子化は有効な選択肢の一つです。請求書や領収書の受け取り、承認、保管、検索といった領域では、電子化によって課題を解消しやすくなります。

そのうえで、業務の棚卸しとルールの明文化、入力・承認フローの統一といった標準化を進めれば、自動化の効果も得やすくなります。自動化は、ルールが明確な定型業務から、段階的に広げていくのが取り組みやすい進め方です。

経理DXは、一度に大きく変えるものではなく、電子化、標準化、自動化という三つのステップを順に積み重ねていく取り組みです。自社の業務の現状を見つめ直すところから、始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者

株式会社ベルシステム24 ソリューションサイト編集部

コンタクトセンターの立ち上げ・運営のTIPSやAI活用事例など、現場に役立つ情報を発信しています。