経理部門のコスト削減方法|見直すべき5つの領域と具体的な施策

経理部門のコスト削減方法|見直すべき5つの領域と具体的な施策

公開日:2026.01.29  
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経理部門のコスト削減は、企業の利益向上に直結する重要な経営課題です。売上を伸ばすことが難しい環境下でも、コスト削減に取り組むことで確実に利益を改善できます。しかし、経理業務は専門性が高く、どこから手をつければよいかわからないという声も少なくありません。本記事では、経理部門で見直すべき5つのコスト領域と、実践的な削減施策について解説します。自社の経理業務を効率化し、コスト削減を実現するためのヒントとしてご活用ください。

経理部門でコスト削減が求められる背景

経理部門におけるコスト削減の重要性は、近年ますます高まっています。その背景には、企業経営を取り巻く環境の変化があります。

間接部門への効率化圧力の高まり

企業の競争環境が厳しさを増す中、バックオフィス部門への効率化要請が強まっています。経理部門は直接的に売上を生み出す部署ではないため、いかに少ないコストで高品質な業務を遂行するかが問われるようになりました。

また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、従来は人手に頼っていた業務の自動化が可能になっています。こうした技術的な選択肢が広がったことで、経理部門にも業務プロセスの見直しとコスト削減が期待されるようになりました。

人手不足と人件費上昇の影響

少子高齢化による労働力人口の減少は、経理人材の確保を困難にしています。経理業務には専門知識が求められるため、採用難易度は他の職種と比べても高い傾向にあります。

加えて、最低賃金の上昇や人材獲得競争の激化により、人件費は上昇傾向にあります。限られた人員で業務を回すためには、業務効率化によるコスト最適化が欠かせません。人手不足への対応と人件費抑制を両立するためにも、経理部門のコスト構造を見直す必要性が高まっています。

経理コスト削減で見直すべき5つの領域

経理部門のコストは多岐にわたります。効果的にコスト削減を進めるためには、まず自社のコスト構造を把握し、見直すべき領域を特定することが重要です。

①人件費(残業代・採用コスト)

経理部門のコストで最も大きな割合を占めるのが人件費です。給与や賞与だけでなく、残業代、社会保険料、採用にかかる費用なども含まれます。

特に月末月初や決算期には業務が集中し、残業が発生しやすくなります。慢性的な残業は人件費を押し上げるだけでなく、従業員の離職リスクも高めます。また、退職者が出れば採用・教育コストが新たに発生するため、人件費の最適化は多角的な視点で検討する必要があります。

②紙・印刷関連コスト

請求書、領収書、帳票類の印刷や保管にかかるコストも見逃せません。用紙代、インク・トナー代、複合機のリース料、郵送費などが該当します。

さらに、紙の書類を保管するためのキャビネットや倉庫のスペースも間接的なコストとなります。法定保存期間が定められている書類も多いため、保管コストは長期にわたって発生し続けます。

③システム・ツール利用料

会計ソフト、経費精算システム、給与計算ソフトなど、経理業務に必要なシステムの利用料もコストの一部です。複数のシステムを併用している場合、それぞれにライセンス費用や保守費用がかかります。

導入当初は必要だったものの、現在はほとんど使われていない機能やオプションが残っているケースもあります。定期的に利用状況を見直し、契約内容を最適化することでコスト削減につながります。

④振込手数料・支払関連コスト

取引先への支払いに伴う振込手数料は、取引件数が多い企業ほど負担が大きくなります。1件あたりの金額は小さくても、年間で積み上げると相当額になることがあります。

また、支払業務にかかる人的コストも考慮が必要です。請求書の確認、承認フローの管理、振込データの作成など、支払いに関連する作業時間を削減することも広い意味でのコスト削減といえます。

⑤時間コスト(非効率な業務プロセス)

目に見えにくいものの、非効率な業務プロセスによる時間のロスは大きなコストです。手作業によるデータ入力、紙ベースでの承認フロー、属人化した業務手順などが時間コストを生み出す要因となります。

時間コストは直接的な支出として現れにくいため見過ごされがちですが、その時間を付加価値の高い業務に充てられれば、部門全体の生産性向上につながります。

経理コスト削減を実現する3つのアプローチ

コスト削減の対象領域を把握したら、次は具体的な施策を検討します。ここでは、経理部門で特に効果が期待できる3つのアプローチを紹介します

ペーパーレス化の推進

紙の書類を電子データに置き換えるペーパーレス化は、複数のコストを同時に削減できる施策です。用紙代や印刷代の削減はもちろん、郵送費、保管スペース、書類を探す時間なども削減できます。

電子帳簿保存法の改正により、請求書や領収書などの電子保存が認められるようになりました。クラウド型の経費精算システムや請求書受領サービスを活用すれば、紙を介さない業務フローを構築できます。導入初期には一定の投資が必要ですが、中長期的には大きなコスト削減効果が期待できます。

業務プロセスの標準化・自動化

属人化した業務を標準化し、定型作業を自動化することで、人件費と時間コストを削減できます。業務マニュアルの整備や、RPAツールの導入が代表的な手法です。

標準化・自動化を進める際は、まず現状の業務フローを可視化し、どの作業に時間がかかっているかを把握することが重要です。優先度の高い業務から着手し、段階的に範囲を広げていくことで、無理なく効率化を進められます。

アウトソーシングの活用

経理業務の一部または全部を外部の専門業者に委託するアウトソーシングも、コスト削減の有効な手段です。採用・教育コストの削減、繁忙期の人員調整、専門性の確保といったメリットがあります。

特に、記帳代行、給与計算、請求書発行といった定型業務はアウトソーシングとの相性が良い領域です。自社で対応すべきコア業務と、外部に委託できるノンコア業務を切り分けることで、コストと品質のバランスを取りながら効率化を図れます。

コスト削減を進める際の注意点

コスト削減は重要な経営課題ですが、やり方を誤ると業務品質の低下や現場の混乱を招く恐れがあります。以下の点に注意しながら進めることが大切です。

品質や内部統制を損なわない

コスト削減を急ぐあまり、業務品質や内部統制が疎かになっては本末転倒です。経理業務は正確性が求められる領域であり、ミスが発生すれば修正対応に余計なコストがかかります。

また、不正防止の観点からも、適切なチェック体制や承認フローは維持する必要があります。コスト削減と内部統制の両立を意識し、リスクを増大させない範囲で効率化を進めましょう。

現場の負担増にならない進め方

新しいシステムの導入や業務フローの変更は、一時的に現場の負担を増やす可能性があります。十分な説明や研修を行わずに進めると、現場の反発を招いたり、定着しないまま元のやり方に戻ってしまったりすることがあります。

コスト削減の目的や期待される効果を現場と共有し、段階的に導入を進めることが成功のポイントです。現場からのフィードバックを取り入れながら、実態に合った形で改善を重ねていきましょう。

経理コスト削減の進め方ステップ

コスト削減を着実に進めるためには、計画的なアプローチが欠かせません。以下のステップに沿って取り組むことで、効果的な改善が可能になります。

現状把握と課題の可視化

最初のステップは、現状の業務内容とコスト構造を把握することです。どの業務にどれだけの時間とコストがかかっているかを数値化し、課題を明確にします。

業務の棚卸しを行い、作業時間の計測や費用の内訳を整理しましょう。現場へのヒアリングも有効です。「なんとなく非効率」ではなく、具体的なデータに基づいて課題を特定することが、適切な施策選定につながります。

優先順位の決定と施策実行

課題が明確になったら、どこから着手するかの優先順位を決めます。削減効果の大きさ、実現のしやすさ、投資対効果などを総合的に判断し、取り組む順序を決定します。

すべてを一度に変えようとせず、まずは効果が出やすい領域から着手するのがおすすめです。小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体のコスト削減に対する意識が高まり、次の施策にもつなげやすくなります。

効果測定と継続的な改善

施策を実行したら、その効果を測定します。削減できたコストや時間を数値で確認し、当初の目標と比較しましょう。期待した効果が出ていない場合は、原因を分析して改善策を講じます。

コスト削減は一度で完了するものではありません。定期的に業務を見直し、継続的に改善を重ねていくことが、長期的なコスト最適化につながります。PDCAサイクルを回しながら、より効率的な経理部門を目指しましょう。

まとめ

経理部門のコスト削減は、人件費、紙・印刷関連コスト、システム利用料、振込手数料、時間コストの5つの領域を中心に見直すことが効果的です。ペーパーレス化、業務の標準化・自動化、アウトソーシングの活用といったアプローチを組み合わせることで、品質を維持しながらコスト削減を実現できます。

重要なのは、現状を正確に把握し、優先順位をつけて計画的に進めることです。一度の取り組みで終わらせず、継続的に改善を重ねていくことで、持続的なコスト削減が実現します。


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