単なる自動化を超えて:AI OCR×RPAで叶える業務効率化とは

単なる自動化を超えて:AI OCR×RPAで叶える業務効率化とは

2025.12.25
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デジタル化が進む現代のビジネス環境において、AI-OCR(AI Optical Character Recognition)とRPA(Robotic Process Automation)の活用が注目を集めています。AI-OCRは紙文書やPDFから情報を高精度で読み取る技術であり、RPAは定型業務を自動実行する技術です。AI-OCRとRPAを連携させることで、従来は困難だった紙文書の処理からシステム入力までを一貫して自動化できます。企業のDX推進においても、AI-OCRとRPAの組み合わせは重要な役割を果たしています。本記事では、AI-OCRの基本とRPAとの違い、両者を連携させるメリット、さらに導入手順や活用方法まで詳しく解説します。これからデジタル変革に取り組む企業や自治体の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

AI-OCRとは?従来のOCRとの違い

AI-OCRとは、人工知能技術を活用した文字認識システムのことです。紙の書類やPDF、画像データなどに記載された文字情報をデジタルデータとして読み取る技術で、従来のOCRと比較して認識精度の改善が期待できます。

従来のOCR技術では、あらかじめ登録されたテンプレートやパターンに基づいて文字を認識していたため、書式が異なる文書や手書き文字の読み取りが困難でした。一方、AI-OCRは機械学習やディープラーニングの技術を活用することで、印刷された文字だけでなく、ある程度整った手書き文字や複数のレイアウトパターンに対応しやすくなっています。こうした技術の進化により、企業や自治体における書類処理業務の効率化が進みつつあります。

主な特徴と強み

AI-OCRには以下のような特徴があります。

高い認識精度:AIによる学習機能により、利用を重ねるごとに認識精度が向上します。手書き文字や複雑なレイアウトの文書にも対応可能です。

柔軟な書式対応:請求書や申込書など、企業ごとに異なるフォーマットでも、項目を自動で判別して読み取ることができます。多くの文書で複雑なテンプレート登録なしに利用可能なため、導入時の初期設定の手間を軽減できます。

多言語対応:日本語だけでなく、英語や中国語など複数の言語に対応しているAI-OCRも多く、グローバル企業での活用が進んでいます。

こうした特徴により、AI-OCRは請求書処理や契約書管理、顧客情報の登録など、さまざまな業務シーンで活用されています。

RPAとは?AI-OCRとの違いを理解する

RPA(Robotic Process Automation)は、ソフトウェアロボットを使って人間が行う定型的なパソコン作業を自動化する技術です。データ入力やシステム間の情報転記、メール送信など、ルールが明確な業務を人に代わって実行します。

AI-OCRとRPAの違いは、その役割にあります。AI-OCRは「紙やPDFから情報を読み取る」技術であるのに対し、RPAは「読み取った情報を使って業務を自動実行する」技術です。つまり、AI-OCRが入口、RPAが処理の実行という関係性にあり、両者を組み合わせることでDX推進における強力なソリューションとなります。

RPAの特徴として、既存システムのコードに手を入れることなく導入可能な点が挙げられます。通常、業務システムの統合や改修には多大なコストと時間がかかりますが、RPAはユーザーインターフェース(UI)を通じて操作を行うため、システムの内部構造を変更する必要がありません。ただし、導入時には動作環境の整備や設定作業が必要となる場合があります。

RPAが得意とする業務

RPAは以下のような業務で効果が期待できます。

  • データ入力や転記作業:複数のシステム間でのデータ移行や、Excelへの情報入力など
  • 定期的なレポート作成:各システムからデータを収集し、定型フォーマットのレポートを作成
  • メール送信や通知:条件に応じた自動メール送信や、関係者への通知業務
  • データの照合・確認:請求書と発注書の照合など、複数データの突合作業

これらの業務は人手で行うと時間がかかり、入力ミスのリスクもありますが、RPAを適切に設定することで効率化やミス削減が期待できます。

AI-OCRとRPAを連携させるメリット

AI-OCRとRPAは、それぞれ単独でも業務効率化に貢献しますが、両者を連携させることで、さらに大きな効果が期待できます。AI-OCRが紙やPDFから情報を読み取り、その情報をRPAが自動的に各種システムへ入力するという一連の流れを自動化できるのです。

AI-OCRとRPAによる業務プロセスの自動化

従来、紙の書類が届いた場合、担当者が目視で内容を確認し、手作業でシステムに入力する必要がありました。この作業には時間がかかるだけでなく、入力ミスのリスクも伴います。

AI-OCRとRPAを連携させることで、以下のような流れで定型業務の自動化を進めることができます。

  1. AI-OCRが紙文書やPDFをスキャンし、必要な情報を抽出
  2. 抽出されたデータをRPAが受け取り、基幹システムやデータベースに自動入力
  3. 入力完了後、関係者へ自動で通知メールを送信

このように、書類の受け取りから情報の登録、関係者への連絡まで、多くの作業工程において人手を大幅に削減することが可能です。ただし、OCRの認識精度や例外的なケースへの対応など、状況に応じて人による確認が必要となる場面もあります。

人的リソースの最適化

定型的なデータ入力作業から解放されることで、従業員はより付加価値の高い業務に集中しやすくなります。顧客対応や企画立案、戦略的な意思決定など、人間にしかできない業務に時間を割けるようになることは、企業の競争力強化に貢献する可能性があります。

また、繁忙期における一時的な業務増加にも柔軟に対応できます。従来であれば人員を増やす必要がありましたが、AI-OCRとRPAの組み合わせにより、処理能力を拡張することが可能です。

処理スピードと正確性の向上

人間が行う場合、大量の書類処理には時間がかかり、疲労によるミスも発生しやすくなります。AI-OCRとRPAの連携では、24時間365日稼働が可能で、多くの導入事例において処理時間の大幅な短縮が報告されています。

さらに、一度設定したルールに従って処理を行うため、データ入力や転記における人為的なミスを削減できる傾向があります。ただし、完全にエラーをゼロにできるわけではなく、定期的な精度確認や調整が必要です。適切な運用を行うことで、後工程での確認作業や修正作業の負担軽減が期待できます。

AI-OCR×RPAの具体的な活用シーン

AI-OCRとRPAの連携は、さまざまな業務領域で活用されています。ここでは、代表的な活用シーンをご紹介します。

請求書処理の自動化

請求書処理は多くの企業で発生する定型業務ですが、取引先ごとに書式が異なるため、手作業での処理が一般的でした。

AI-OCRを活用することで、異なるフォーマットの請求書からも、請求元の情報や金額、支払期日などを自動で読み取ることができます。そして、RPAがこれらの情報を会計システムに自動登録し、承認フローを回します。これにより、請求書の受領から支払処理までの作業時間を大幅に短縮できる可能性があります。

申込書や契約書の処理

保険や金融サービス、各種会員登録など、顧客から紙の申込書を受け取る業務では、情報の入力作業に多くの時間が割かれています。

AI-OCRで申込書の内容を読み取り、RPAが顧客情報を自動登録することで、処理時間を短縮できます。また、入力ミスによる顧客対応のトラブルも減少し、サービス品質の向上にもつながります。

在庫管理や発注業務

製造業や小売業では、納品書や検収書などの紙文書を基に在庫管理システムを更新する作業が発生します。

AI-OCRで納品書の内容を読み取り、RPAが在庫管理システムに反映させる方法により、手作業と比較して格段に迅速な在庫把握が可能になります。在庫が一定数を下回った際には、RPAが自動で発注処理を行うといった、より高度な自動化も実現できます。

人事労務業務の効率化

従業員の入社手続きや各種申請書の処理も、AI-OCRとRPAの連携で効率化できる領域です。履歴書や職務経歴書から必要な情報を抽出し、人事システムへ自動登録することで、人事担当者の負担を軽減できます。

また、勤怠データの集計や給与計算に必要な情報の転記なども自動化できるため、人事労務業務全体の効率化が図れます。

自治体におけるAI-OCR・RPA活用

自治体でもAI-OCRとRPAの活用が進んでいます。住民からの各種申請書や届出書の処理、補助金申請の受付業務など、紙文書が多く発生する業務において、AI-OCRによる読み取りとRPAによる自動処理が導入されています。これにより、職員の業務負担軽減と住民サービスの向上を両立することが可能になっています。

AI-OCRとRPAの導入手順と検討ポイント

AI-OCRとRPAの連携による業務効率化を実現するには、適切な導入計画と運用体制の構築が重要です。ここでは、導入を推進する際の具体的な手順と検討ポイントをご紹介します。

業務プロセスの可視化と優先順位付け

まず、現状の業務フローを詳細に把握し、どの部分を自動化すべきか検討します。すべての業務を一度に自動化しようとするのではなく、効果が出やすい業務から段階的に進めることが成功のポイントです。

処理件数が多い業務、人的ミスが発生しやすい業務、時間的制約がある業務などを優先的に自動化することで、より迅速な効果の実現を目指せます。DX推進においては、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

AI-OCR・RPAのツール選定と要件定義

AI-OCRとRPAには多様な製品があり、それぞれ特徴や得意分野が異なります。自社の業務要件に合ったツールを選定することが重要です。

例えば、多言語対応が必要か、手書き文字の認識精度が重要か、既存システムとの連携のしやすさはどうかなど、具体的な要件を明確にしてから製品を比較検討します。

また、導入後の拡張性も考慮に入れる必要があります。最初は小規模な業務から始めても、将来的には他の部門や業務にも展開できる柔軟性があるかを確認しましょう。

導入の具体的な手順

AI-OCRとRPAの導入を成功させるためには、以下の手順で進めることをお勧めします。

第一段階として、パイロット導入を行います。対象業務を絞り込み、小規模で実証実験を行うことで、課題や改善点を洗い出します。この段階で精度や処理速度を検証し、本格導入に向けた調整を行います。

第二段階では、パイロット結果を基に本格導入を進めます。運用ルールの策定やマニュアルの作成、関係者への研修を実施し、全社的な展開に向けた基盤を整えます。

第三段階として、継続的な改善サイクルを回します。利用状況をモニタリングし、新たな自動化対象業務の発掘や、既存プロセスの最適化を進めていきます。

運用体制の整備

AI-OCRとRPAを導入した後も、継続的な運用とメンテナンスが必要です。業務プロセスが変更された場合の設定変更や、新しい書式への対応、エラー発生時の対処など、運用体制を整えておくことが安定稼働の鍵となります。

社内に専任の担当者を配置するか、外部のサポートサービスを活用するかを検討し、適切な体制を構築しましょう。

まとめ

AI-OCRとRPAの連携は、単なる業務の一部自動化にとどまらず、業務プロセス全体を変革する可能性を持っています。紙文書やPDFからのデータ抽出から、各種システムへの入力、関係者への通知まで、適切な導入と運用によって業務効率の大幅な向上が期待できます。処理スピードと正確性が向上するだけでなく、従業員がより創造的で付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることができます。導入にあたっては、現状の業務プロセスを丁寧に分析し、効果の出やすい領域から段階的に進めることが重要です。適切なツール選定と運用体制の構築により、持続的な業務改善を実現できるでしょう。