コンタクトセンター運営におけるBCP|通信障害・人員不足への対応策

コンタクトセンター運営におけるBCP|通信障害・人員不足への対応策

2025.12.18
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コンタクトセンターは顧客対応の最前線であり、その停止は企業の信用失墜につながるリスクが高い部門です。通信障害や急激な人員不足などの予期しない事態に直面した場合、迅速かつ適切に対応できる体制が必要とされています。

本記事では、コンタクトセンター運営におけるBCP(事業継続計画)の重要性と、BCPの実装方法や、通信障害・人員不足といった具体的なシーンでの対応策について、実践的な観点から解説します。

コンタクトセンター運営におけるBCPの重要性

コンタクトセンターは、企業の業務継続に影響を与える重要な部門です。ここでは、コンタクトセンターが直面するリスクと、なぜBCP(事業継続計画)が必要とされるのかについて説明します。

コンタクトセンターが直面するリスク

コンタクトセンター運営には、様々なリスクが存在します。システムの障害やネットワークの不具合による通信障害は、顧客対応を一時的に停止させる危機的な状況をもたらします。また、感染症の流行や自然災害による急激な人員不足も、対応品質の低下や顧客満足度の急落につながる重大なリスクです。

さらに、外部委託によるBPO体制を活用している場合、委託先での障害も自社の事業継続に影響を与えます。こうした多くのリスク要因に対し、組織全体で対応できる体制整備が求められています。

BCPが必要とされる理由

BCPは、災害やトラブル発生時に事業の中断を最小限に抑え、早期の復旧を実現するための計画です。コンタクトセンター運営においても、通信障害や人員不足といった予測可能なリスクに備えることで、顧客サービスの継続性を確保できます。

事前に対応策を準備しておくことで、実際の障害発生時には混乱を最小化し、判断の迅速性も向上します。結果として、企業の信用維持と顧客満足度の保全につながることが期待され、事業継続計画は現代のコンタクトセンター運営において重要な取り組みとなっているのです。

通信障害時の対応策

通信障害はコンタクトセンターの運営を脅かす大きな要因の一つです。発生時の影響を最小化するための事前準備と対応フローについて、具体的に解説します。

通信障害のパターンと影響範囲

コンタクトセンターに発生する通信障害には、様々なパターンが考えられます。電話回線の障害はオペレーターが電話での顧客対応ができない状態を引き起こすため、メールやチャットなど他のチャネルでの対応を検討することが重要です。インターネット回線の停止はシステムへのアクセス不可につながります。また、特定のエリアに限定された障害もあれば、全拠点に影響する障害もあり、その規模によって対応方法も異なります。

通信障害が発生すると、顧客からの問い合わせに応対できない期間が生まれ、その間のお問い合わせは対応遅延となります。この対応遅延がサービス品質の低下につながり、顧客満足度にも直結するため、事前の対応策準備が重要です。

事前準備(バックアップ回線、システム冗長化)

通信障害対応の基本は、バックアップ体制の構築です。複数のキャリアから通信回線を引き入れることで、一つの回線に障害が発生した場合でも、別の回線での対応が可能になります。特に、地理的に異なる拠点を活用する場合、各拠点に複数の回線契約を配置することが有効です。

システムの冗長化も同様に重要です。音声通話システムやCRM、コール管理システムなどが複数の場所に分散配置されていれば、一箇所の施設での障害による影響を軽減できる可能性があります。クラウドベースのシステムを活用することで、物理的な施設に依存しない冗長構成を実現できる可能性も高まります。

事前準備として実施すべき項目は以下の通りです。

  • 複数キャリアからの通信回線契約

  • システムサーバーの複数拠点への配置

  • 音声通話システムのバックアップ機能の確認

  • クラウドシステムの活用の検討

  • 定期的な動作確認とテストの実施

発生時の対応フロー

通信障害が発生した場合、迅速な判断が求められます。重要なことは、障害の規模と影響範囲を正確に把握することです。その上で、バックアップ回線やシステムへの切り替えを実行します。

同時に、顧客への連絡体制も重要です。自動音声案内の変更やウェブサイトでの障害情報発信により、顧客に現状を伝えることは、対応状況の透明性を保つことで、無駄な問い合わせを減らせる可能性があります。また、対応が可能な範囲での業務継続も検討します。例えば、メールやチャットといった別のチャネルでの対応に切り替えることも、事前の対応策の一つとして組み込むことが有効です。

人員不足時の対応策

感染症の流行や自然災害による急激な人員不足は、コンタクトセンター運営における現実的なリスクです。こうした状況に対応するための事前準備と実行手順について説明します。

人員不足が生じるシーン

人員不足が発生する要因として、感染症の流行による従業員の出勤困難が挙げられます。特に、感染症拡大期には、多数の従業員が同時に休業を余儀なくされることもあります。また、大型の自然災害の発生時には、施設へのアクセス不可や従業員の被災により、即座に十分な人数を確保できない事態に直面します。

さらに、季節変動やキャンペーン時期などにより、お問い合わせが増加し、通常より多くの人員が必要になる場合も考えられます。こうした様々な人員不足シーンに対し、柔軟に対応できる体制が必要とされています。

事前準備(応援体制、マニュアル整備)

人員不足時の対応には、社内での応援体制の構築が基本となります。バックオフィス部門や営業事務など、コンタクトセンター以外の部門からの応援体制を事前に計画しておくことで、急な人員不足にも対応しやすくなります。

同時に、応援スタッフが迅速に対応できるよう、業務マニュアルの整備が重要です。基本的な対応フローから顧客対応時の留意点まで、標準化されたマニュアルがあれば、通常業務と比較して専門性が低いスタッフでも、一定水準のサービス提供が可能になります。

事前準備として実施すべき項目は以下の通りです。

  • 応援要員の事前登録と定期的なスキル確認

  • 業務マニュアルの作成と定期的な更新

  • オペレーター育成プログラムの整備

  • テレワーク対応体制の構築

  • 外部のBPO企業との連携体制の整備

発生時の対応フロー

人員不足が生じた場合、まず人数把握と対応優先度の判断が必要です。対応可能な人数と予想される問い合わせ量から、対応可能な件数を見積もり、その上でサービス提供方針を決定します。

例えば、人員が大幅に不足している場合、全ての問い合わせに対応することは難しくなります。その際は、緊急性の高い問い合わせから対応するなど、優先順位を明確にすることが重要です。同時に、応援要員の投入や、BPO企業への業務委託追加など、短期的な人員増強の手段を検討します。

また、対応遅延が発生することが避けられない場合、顧客への事前通知は、状況を適切に開示することで、信用維持につながる可能性があります。「現在、多くのお問い合わせをいただいており、対応にお時間をいただいています」といった案内により、顧客の理解を促進できます。

BPOを活用した対応体制の構築

コンタクトセンター運営の一部または全部をBPO企業に委託することで、複数拠点での運用やスタッフ確保により、人員不足への対応力を強化できます。また、BPO企業のバックアップ体制を活用することで、通信障害時にも安定した運営体制を構築できます。ここでは、BPO活用時の利点と注意点について説明します。

外部委託によるリスク分散のメリット

多くのBPO企業では、複数拠点での運営やシステム冗長化に取り組んでおり、単一の施設や回線に依存しない運営が実現されているケースがあります。

また、BPO企業と自社の拠点を分離することで、自社で発生した通信障害や人員不足の影響を、委託先での業務継続により緩和できます。例えば、自社拠点が自然災害の影響を受けた場合でも、委託先での業務継続により、顧客対応の一部を維持することが可能になります。

さらに、BPO企業の応援体制を活用することで、短期的な人員増強も実現しやすくなります。季節変動や一時的なお問い合わせ増加に対しても、柔軟に対応できるメリットがあります。

BPO活用時の注意点

BPO企業を活用する場合、委託先の事業継続体制を十分に確認することが重要です。相手先企業のBCP策定状況、バックアップ体制、過去の障害対応実績などを事前に確認した上で、委託契約を締結することが望ましいです。

また、委託先との連携体制も明確にしておく必要があります。通信障害や人員不足が発生した際に、どのような判断基準で自社対応からBPO企業への業務切り替えを行うのか、そうした判断フローを事前に取り決めておくことで、発生時の迅速な対応につながります。

さらに、委託先での対応品質を維持するため、定期的な品質監査や改善協議も不可欠です。BPO企業任せにするのではなく、自社として継続的なモニタリング体制を構築することが、リスク対応の実効性を高めるために重要なのです。

コンタクトセンターBCP策定のステップ

実際にBCPを策定する際のステップについて、具体的に説明します。

現状把握と課題抽出

BCP策定の第一ステップは、現在の運営体制と潜在リスクを把握することです。現在のシステム構成、回線構成、人員配置などを正確に理解した上で、通信障害が発生した場合の影響範囲、人員不足時の対応可能人数などを分析します。

また、過去に発生した障害事例やヒヤリハット事例も収集し、実際に起こりやすいリスクを特定することが重要です。こうした情報から、対応が最も必要な領域を明確にできます。

対応策の優先順位付け

リスク把握後は、対応策の優先順位付けを行います。経営資源には限界があるため、全てのリスクに同時に対応することは現実的ではありません。リスク発生の可能性と発生時の影響度を総合的に判断し、対応投資の優先順位を決定します。

例えば、通信障害による影響は大きいが、BPO企業との連携である程度は対応可能な場合と、社内スタッフのスキル確保が急務である場合では、対応策の優先度が異なります。組織の状況に応じて、戦略的に対応策を決定することが効率的なBCP構築につながります。

継続的な改善

BCP策定後も、継続的な改善が必要です。定期的な訓練やシミュレーションを実施し、計画の実効性を確認します。また、ビジネス環境の変化や技術進化に伴い、BCP自体も随時見直すことが重要です。

例えば、新しいシステムの導入やテレワーク体制の拡充など、運営体制の変化に応じてBCPも更新する必要があります。こうした段階的な改善により、組織のBCP対応能力が高まり、実際の危機発生時に効果的に機能する計画となるのです。

まとめ

コンタクトセンター運営におけるBCP策定は、通信障害や人員不足といった予測可能なリスクに対し、事前に対応体制を整備する重要なプロセスです。バックアップ回線やシステム冗長化による通信障害対応、応援体制やマニュアル整備による人員不足対応など、具体的な対策を段階的に実行することが求められます。

BPO企業を活用することで、自社単独では構築が難しい対応体制も実現可能になります。ただし、委託先の事業継続体制の確認と継続的なモニタリングにより、外部委託によるリスクも適切に管理する必要があります。

現状把握から優先順位付け、継続的な改善まで、組織として段階的にBCP対応を進めることで、顧客サービスの継続性確保と企業信用の維持につながる、実効性の高いBCP体制の構築が実現するのです。

BCP対策についてさらに詳しく知りたい方は、「コンタクトセンターのBCP対策」の資料もあわせてご覧ください。