近年、日本全国の自治体でデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。少子高齢化による労働力人口の減少や財政難といった課題に直面する中、自治体DXは業務効率化と住民サービス向上を両立させるための重要な取り組みとなっています。本記事では、自治体DXとは何かをわかりやすく解説し、様々な先進的な取り組み事例を紹介します。これからDXに取り組む自治体の参考となるよう、様々な角度から事例を掘り下げていきます。
自治体DXとは
定義と目的
自治体DXが求められる背景
少子高齢化と人口減少:労働人口の減少により、自治体職員の確保が難しくなっています
行政需要の増加:高齢化社会が進む中、福祉サービスなど行政需要は増加の一途をたどっています
財政の厳しさ:自治体の税収減少により、効率的な行政運営が求められています
住民のデジタル化ニーズ:民間サービスのデジタル化が進む中、行政サービスにも同様の利便性が求められています
「2025年の崖」への対応:DX推進が遅れると、2025年以降に大きな経済損失が生じるとされています
総務省が定める自治体DXの重点取り組み事項
総務省の「自治体DX推進計画」では、以下の6つの重点取り組み事項が定められています。
- 自治体情報システムの標準化・共通化:2025年度までに基幹系17業務を標準仕様に準拠したシステムへ移行
- マイナンバーカードの普及促進:各種行政手続きのオンライン化や本人確認の簡略化を実現
- 行政手続きのオンライン化:特に住民の利便性向上に資する手続きを優先的にオンライン化
- AI・RPAの利用推進:定型業務の自動化による業務効率化
- テレワークの推進:災害時の業務継続性確保や働き方改革の推進
- セキュリティ対策の強化:デジタル化に伴うセキュリティリスクへの対応
これらの取り組み事項を柱に、各自治体では様々なDX施策が展開されています。
※出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」
全国で見られる先進的な自治体DXの取り組み
1. 最新技術を活用した安全・安心な地域づくり
2. 行政手続きのデジタル化による住民サービス向上
3. AI・RPAを活用した業務効率化
4. データ活用による政策立案
5. デジタルデバイド対策とデジタル人材育成
弊社が支援した藤沢市の事例
これまで全国の先進的な事例を紹介してきましたが、ベルシステム24でも自治体DXの支援を積極的に行っています。特に自治体のデジタル化をけん引する存在ともいわれる藤沢市様のDX推進に携わった実績があります。
当社が支援した藤沢市様の取り組みでは、市民の方からの問い合わせ先が分かりづらい、職員が問い合わせ対応に追われて本来の業務に集中できないという課題を解決するため、問い合わせ窓口の一元化、コンタクトセンターのオペレーターによるワンストップ対応などを導入しました。
導入の結果、1年間で市職員の4,000時間近い業務削減という成果につながりました。オムニチャネル化により市民がスムーズに問い合わせをできるようになった、FAQを充実させることで問い合わせ自体を削減することができた、という結果も出ています。
自治体DXの推進を検討されている方は、ぜひ当社へお問い合わせください。
自治体DX成功のポイント
全国の先進事例から見えてくる、自治体DXを成功させるためのポイントを整理すると、以下のようになります。
- 住民目線のDXサービス設計:住民の利便性向上を第一に考えたDXサービス設計が重要です
- 業務プロセスの見直し:単にデジタル化するだけでなく、業務プロセス自体を見直すことが効果的です
- 段階的なDX導入:小規模な施策から始め、住民からのフィードバックを得ながら段階的に展開することで、混乱を最小限に抑えられます
- DX人材育成の強化:DX推進には専門知識を持った人材が不可欠です。研修や外部連携による人材育成が重要です
- 部署間・自治体間の連携:縦割り行政の壁を越えた連携や、他の自治体とのノウハウ共有が効果的です
- セキュリティ対策の徹底:DXに伴い増大するサイバー攻撃のリスクに対応するため、適切なセキュリティ対策が必要です
まとめ
自治体DXは、単なるデジタル技術の導入ではなく、住民サービスの質を高め、業務効率化を実現することを目標としています。全国の先進事例からわかるように、各自治体がそれぞれの地域特性や課題に合わせた独自のDX施策を展開しています。
重要なのは、「何のためのDXか」という目的を明確にし、住民目線でサービスを設計することです。また、職員の理解と協力を得るための意識改革や人材育成も欠かせません。
2025年度までに基幹系17業務システムの標準化・共通化が求められるなど、自治体DXは待ったなしの状況です。本記事で紹介した先進事例を参考に、各自治体がそれぞれの状況に合ったDX推進を図ることが期待されます。
デジタル技術を活用した新たな行政サービスの形が、人口減少社会における地域の持続可能性を高め、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会の実現につながるでしょう。